のまわりに一粒か二粒|宛《ずつ》、紅矢の枕元に在ったのと同じ位の大きさの紅玉《ルビー》が散らばっているではありませんか。
青眼先生はこれを見ると思わず声を立てて――
「悪魔」
と呼びました。
この声を聞くや否やその少女は直ぐにむっくりはね起きて、青眼先生の顔を一眼チラリと見ましたが、忽ち物凄い形相《かおかたち》になって――
「あれッ。青眼先生……妾《あたし》は美紅です。この家《うち》の娘です。悪魔ではありません」
と叫びながら紫の髪毛《かみのけ》をふり乱し、紅玉《ルビー》を雨のようにふり散らして、物をも云わず窓から逃げ出そうとしましたが、最早《もはや》遅う御座いました。青眼先生が注ぎかけた薬が身体《からだ》のどこかへ触《さわ》ると直ぐに、身体《からだ》中の血が氷になって、寝台《ねだい》の上にドタリと落ちて、見る見る内にシャチコばってしまいました。
青眼先生はこれを見ると、ほっと一呼吸《ひといき》胸を撫《な》で下しましたが、なおじっと気を落ち付けて動悸を鎮めて、それから死骸の傍へ寄ってよく周囲《まわり》を検《あらた》めて見ました。そうしていよいよ死んだという事をたしかめてから、
前へ
次へ
全222ページ中160ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
杉山 萠円 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング