の中《うち》に又不図これは悪魔の計略《はかりごと》だなと気が付いて、急いで紅矢の室《へや》に帰って見ますと、こは如何に。紅矢は何を為《し》たのか、布団の中から身体《からだ》を半分脱け出しまして、呼吸《いき》をぜいぜい切らして、眼を怒らして、歯を喰い締めて、窓の外を睨んでいます。そうして左の手には何か固いものを一ツ、しっかりと握り込んでいる様子です。青眼先生はハッとしまして、扨は悪魔は自分を誘い出しておいて、又もや紅矢を苦しめに来たのだなと気が付いて、急いで紅矢の傍へ寄って――
「紅矢様。若様。どう遊ばしたので御座います。悪魔がここへ参りましたか。そうしてどちらへ逃げて行きましたか」
 と尋ねました。けれども紅矢はそれには返事を為《せ》ずに――
「悪魔。悪魔|奴《め》。美紅の悪魔奴、取り逃がしたか」
 と叫びました。そうして又がっくりとうしろに倒れますと、どうでしょう。この間から窓の処に置いてある紅玉《ルビー》と同じ位に美しい、同じ位の大きさの紅玉《ルビー》が一掴み程、バラバラと寝台《ねだい》から転がり落ちて、床の上で血のような光りを放って散らばっているではありませぬか。この様子で見ると
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