留女姫の両親や兄妹《きょうだい》となった人々で、しかもその末娘の美紅姫は、矢張り自分と同じように、美留女姫になった夢を見たのみならず、不思議にも自分と少しも違わぬ姿を持っているのですから、もしかすると美紅姫の方が本当の美留女姫の生れ変りで、自分が女王になるというのは嘘かも知れないと思いました。もしこの美紅姫があの夢を本当にして、女王になろうとでも思ったならばそれこそ大変で、折角自分が骨を折って、本当の事にしようと思っているあの夢が、皆嘘になって仕舞いますから、最早《もはや》一寸《ちょっと》も油断がなりませぬ。これは何でもこの美紅姫を亡《な》いものにして、出来る事ならあの夢の事を知っているものは皆息の根を止めてしまわなければ、自分は一寸の間も安心して眠る事は出来ない。そうしなければあの夢のために自分に向いて来た幸福《しあわせ》を、自分一人占めにする事は出来ないのだと、恐ろしい覚悟を定《き》めてしまいました。けれども紅木公爵も公爵夫人も、こんな悪い女が似せ紅矢となって、今眼の前に寝ていようとは夢にも知りませぬ。只思いもかけぬ吾が児の大怪我に気も狂う程驚き慌てまして、一体どうしてこんな事にな
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