ら危うくなぐられそうになって、命からがら……。
……なぞと嘘か本当か限りもないが、この辺で略する。
成功談も無論ある。バラック都市の人々は、寄るとさわるとこの種の新発見の話ばかりしている。しかし、あんまり紹介すると一種の奨励になるから、その中でも最も新しい、且つ事実に相違ないところを綜合して二三紹介する。
素晴らしい秘密の一夜
嘗《かつ》て、丸ビルの靴磨きが女事務員のブローカーである事が某雑誌で素《す》ッ破《ぱ》抜かれると、そのおやじは早速消え失せた。しかし、そのあとが決して消滅した訳ではない。石川や浜の真砂と同じ事である。
但、靴磨きだけは、その後、或る種の恐慌を感じたという。
ずっと前の項で秘密画売買の件の中に、普通の美人写真の絵葉書ばかり持っているのがあるとだけ書いておいた。その大道で秘密に売る普通の美人絵葉書は、大抵一枚七八円から四五円迄ある。黙ってこれを買うと、向うから時間と場所を云う。終夜か半夜かと聞くものもある。聞かぬのもある。
そこへ出かけると、表はつまらぬ家だが、裏には一寸した室が二つか三つ以上ある。そこに控えていると、約束に一分違わず、最前
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