歎美者であり、物質万能主義者となったわけである。
そうした事情と、こうした教育の中から職業婦人が生れた。紡績の工女、看護婦、交換嬢、女給、店番なぞいう、小学卒業程度でもつとまるのを初めとして、タイピスト、事務員、女教員なぞいう高女卒業程度のものまで盛に要求され出した。もっと進んだものとしては、婦人速記、製図手、外交員、会計助手、歯科医なども近々殖えそうである。このような傾向に伴った、日本女性の向学心の旺盛な事は、日に月に当局を喜ばした。
同時に、無智で単純な女でなければつとまらぬ「女中」は、益《ますます》払底して来た。「高級家政婦」を求むる広告が、日に増し新聞紙上に増加して来た。
これに対して、時間|極《ぎ》めの女中を世話する派出婦会が、東京市中に殖えて来た。これも新生な意味の職業婦人に入れられると云う人と、入れられぬと云う人とあるそうである。前者は大抵婦人で、後者は大抵男だそうである。
彼女達の三資本
職業婦人はこうして次第に東京を横行し始めた。
彼女たち職業婦人は裏と表と両方の意味に於て、生活という事を理解している。
彼女たちの資本は、その「健康」と、「美
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