女学生に見られよう見られようとつとめているように見える。
しかし、いくらそんな風になり切っているつもりでも、生活がそうでない限り、どこかにお里があらわれているのは止むを得ない。第一、貴婦人らし過ぎたり、令嬢らし過ぎたり、女学生じみ過ぎたりしているところに、何となく不自然な感じを受ける。まして親たちの指図や許可を得て買った身のまわりと、自分達の勝手な趣味や思う通りの金で買い集めた身のまわりが、感じの点で非常に違うのは当り前である。一方がつつましやかに落付いているのに反して、一方が派手やかに気取っているところに、ありありとネタが暴露している。その上に、彼女等の職業や生活の上から来る気持ちの反映、身体《からだ》のこなし、顔の表情、眼の光りの澄み加減や落ち付き加減にまで注意したら、職業婦人であるかないかは、如何なる場合でも一目瞭然であろう。
職業婦人が理解し得るバラック趣味
第二は、彼女たちの背景である。彼女たちの背景となっているバラック都市は、彼女たちの姿をイヤでも派手にせねばならぬように、寝てもさめても刺戟している。
バラック建築の色や形が如何に派手で変化が多くて、薄っ
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