医、女薬剤師、婦人記者、婦人速記者、女会計、婦人外交員、女製図師、図書館その他の整理係。すこし有りふれては産婆、看護婦、保姆、タイピスト、女事務員、女店員、見張女、マッサージ師、美容術師、女車掌や運転士、交換嬢、モデル女、女優一切。女給、案内女、仲居、お茶子、芸娼妓もかためて中流に入れようか。ドン底に近付いてはトロの後押し、土方の手伝い、ヨイトマケ、紙屑|撰《え》り、工女、掃除女に到るまで、数えて来ると随分ある。これ等はみんな職業婦人に相違ない。
 しかし、復活した東京の新文化の華《はな》然として、大道を闊歩している所謂職業婦人というのはそんなのではない。もっと新しい、現代的な意味でいう職業婦人である。

     自己見せ付け競争

 現代的職業婦人の名称には、単純な意味と複雑な意味と両方ある。
 単純な方はつまり醜業婦の事である。救世軍や婦人矯風会、又はその筋の言明に依ると、震災後特に馬力をかけて撲滅に努力しているという。又、実際、撲滅されかけているように見える。
 複雑な意味の職業婦人というのは、要するに裏と表と二重の職業を持っている婦人で、こちらは反対にドシドシ増加しつつある。
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