その中《うち》に又、MMMが飽かれたかして、後《のち》には単に「享楽団」と呼ばれるようになった。
その時に地震が来た。
ところで、彼《か》の大地震で引っくり返ったものは単に家ばかりではなかった。
男性の享楽団MMMも引っくり返ってWWW団となった。但、そんな名前が出来たわけではない。MMMが地震と共に音も沙汰もなくなって、その代りに少女ばかりで組織された享楽団なるものが現われたのであった。
その途中の経過としてMWWとか何とかいった時代があったかどうかわからぬが、男の享楽団の名は消え失せたらしく、どこの家庭にも、Mよりとか、Sよりとかいう名前の手紙が来たという事を聴かなくなった。
同時に、その享楽団の団長は一人の私立高女の上級生で、その団長の指揮に依ってその団員は盛に享楽事業を拡張しているという噂が、どことなく耳寄りの人に耳寄って来た。
その不良少女享楽団長の名前を聴くと、記者は思わず膝を打った。
「ああ、あれですか」
と声を出した。
田宮先生は面喰らったらしかった。
「あなたは御存じで……」
「イヤ、一寸聞いた事があるのです。一高生にカルメンと呼ばれて持てはやされて
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