げ遣りの自堕落になる。
いずれも不良の原因である。
こうして一度傷ついた彼女の心の痛みは、だんだん早い速力を持って彼女を不良の谷に引き落す。
おいらのせいじゃない
すべての子女は、親よりも純清な心を持っているにきまっている。それが不良になるのは、家庭と社会の欠陥――即ち大人の不始末からである。
先天的の不良性でも、それは矢張り数代、もしくは数十代前からの大人の不仕鱈《ふしだら》が遺伝したものである。子女の不良を責める前に、大人は先ずこの事を考えねばならぬ。
ところが実際は反対に見える。
子女の不良が或る程度まで進むと、不良仲間から認められると同時に社会からも認められる。親兄弟、一家親族、知人朋友、学校警察まで、よってたかって善良世界を追い出して、不良の世界へ追い遣ってしまう。そうして「おれたちのせいじゃない」と思ったり、云ったりしている。
言語道断である……。
……と、今の不良たちは、また殆ど十人が十人思っている。「おれがこんなになったのは境遇からだ」とか、「すべては運命だ」とか云っている。「おれたちが悪い事をしているのじゃない。世間がさせるのだ」位に心得
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