、大略左の意味の回答をしたという。
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そのようなやり口は必ずしも東京式とは認められぬ。八幡市の不良少年が、ある刺戟によって独立的に思い立ったものであろう云々。
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三千の不良少年、三百の不良少女
東京は、こんな風に日本全国から「不良」の本場と考えられているが、実際それだけの価値は充分にある。
目下警視庁の黒表《ブラックリスト》に控えられている不良少年が約三千、不良少女が約三百もある。然《しか》も一粒撰りの者ばかりで、これ以下の「イケナイ」のは無数だという。東京全市が不良の支配下にあるのではないかと疑われる位である。これ等の不良少年少女は震災後激増して、今日の数に達したものである。
同時に彼等は、震災後、殆んど全部が郊外に引っ越してしまったのであった。というのは、市内が一時|寂《さび》れて、郊外の町々が大繁昌をした……即ち彼等の狙う相手が市外に避難したのが主な原因である。
そのほか、郊外に暗い処が多いこと――警察の取締が行届きかねる事――又は東京市の中心に到る電車の距離が長いため誘惑に便利な事――なぞいろいろの原因がある。
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