なみだ》する淋しい妹を慰めて下さいませ……。
いつもいつも、どうせ生きるなら、もっともっと意義のあるように生きたく……望んでおりますけど、けれどけれど私の願いはすっかり裏切られて了《しま》いますの。ミゼラブルな人生を……歎き悲しみましたの。歎いたとて応える何物もありませんでした。玉雄様――こう叫んだ時に、あの四月十日がほんとうに慕わしくなりますの。そうして、まぼろしのようにあなたの面影が表われ……私はたまらなくなりました。そして、そのまぼろしに対して私は何か囁きたかったのですけど、併しそのあなたの面影は長くは続きませんでした。なつかしく、また慕わしかったけれども、私はあなたのまぼろしに無言のうちに別れを告げてしまったのです。噫《ああ》、こうした中にも物淋しい生命は刻々と過ぎて行きます……筆を止めて、静かに黙して、祈るともなく祈る時……私の全身は氷のように冷たく……私の瞳はいつしかうるおいをおぼえました。私はただ泪にうるむ眼をとじて思考すること五分間……又となき若き日の思い出は……ああ、頼もしくもあり寂しくもある日は……時の運行! 尚相変らず慌《あわただ》しゅう御座いますのね。
乱筆お許
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