げ]
私の永久に愛する
 吉井様ハートへ
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   ……………………
 この少女は前の花子よりもませている。関係も進んでいるが、不良少女でない事は写真の送り方でわかる。却て旧式の立派な家庭に育っている、家庭のお嬢さんと思われる節がある。吉井という男に引っかけられて、いい加減にされているらしい事が略《ほぼ》推測出来る。前のと同様にハートなぞいう言葉をこんな風に使うところは、どう見ても江戸ッ子でない。

     少女のラブレター(三)

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毎日青くなったり赤くなったり、七面鳥で、随分大変でしょう。御察し致します。七面鳥さんのために私随分祈っていますの。ですから、あんまり七面鳥になって心配しなくとも、大てい落っこちないから御安心遊ばせ。
十一日ね、随分待ちましたのよ。いくら待っても入らっしゃらぬのですもの。ほんとに悪々《にくにく》しくなってしまいましたの。もう真琴ちゃんの云う事なんか聞き入れない事に定《き》めてしまったの。御自分から話し出しておきながら、入らっしゃらぬなんかあんまりですわ……ほんとに貴方は嘘|吐《つ》きね…
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