の話をした。
「そればかりではありますまい。そんな冒険をやれなければ、この頃の女性に持てないからでしょう」
と記者が云ったら、
「成程、それも面白い観察だ」
とうなずいていた。
少年少女の手紙の内容の進歩
七八年前の事……。
ペン習字手本というような小冊子が流行《はや》った。その中に随分|非道《ひど》い文句を含んだのがあった。
「あなたとあの野を散歩した時、足袋が露でグショグショに濡れました。いっその事二人共身体中グショグショになればいいとおっしゃった事はお忘れでないでしょうね」
なぞとあるのを、福岡の或る教育家が見て驚いて、
「ペン習字は絶対に禁止せねばならぬ。家庭でも取締ってもらうつもりだ」
と記者に話した事がある。
又、ついこの頃の事……。
或る地方の高等学校で、生徒が女と文通したのを先生が罰した。
昔ならその生徒を同級生が擯斥《ひんせき》するか、ブン殴るところを、反対に級全体で同情して先生に迫り、「罰した理由」を責め問うたという事実がある。
こんな風に時勢が違って来ているのだから、男女学生の手紙の内容も進歩しているにきまっている。左に掲げるもの
前へ
次へ
全263ページ中149ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
杉山 萠円 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング