、又は脅迫したりして、金品を巻き上げるとか、堕落させるとかするのを不良少年少女と考えられている位であった。
ところがこの頃では上流のお坊ちゃまやお嬢様がこれをやる。しかも、捕まっても大抵は揉み消されるから、いよいよ増長する傾向がある。
一方、父兄や母姉にも、なっていないのが多い。自分たちの不品行を素っ破抜かれぬ交換条件として、その子女の不良行為を補助しているのさえある。
上流社会の婚約が社会の環視の裡《うち》に破談になった。その理由がどうしてもわからぬ。又は、名士の結婚に深刻な非常手段でケチをつけた少女があった。その少女の遺言が闇から闇に葬られた……というような話をチョイチョイ聞く。その裡面には、大抵、こうした上流の家庭の不浄化が臭気を洩らしている。
美人の奥様の子弟には必ず不良少年が居るというが、今の東京の時代相では一部の真理があると考えられる。
しかし、これも信ぜられぬという人は信じない方がいいであろう。
「秘密」の魅力
次に少年少女の文通に就いて見聞した事を述べる。
若い男女は妙に「秘密」を好む。「秘密」という言葉が、「性」という言葉と因縁があるばかり
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