媾曳《あいびき》に慣れた少女の手紙である。東京付近の郊外が、到る処こうした男女のために利用されている事が推測される。

     本物の不良いろいろ

 次には本物の不良少年少女に就いて研究して見る。
 実を云うと、不良に本物だの贋ものだのとある筈はない。只、程度が高いか低いかだけの違いで、煎じ詰むれば人間性の低級な表現に過ぎぬという事は誰しも認むるところであろう。
 ところで、その「不良性」のあらわれに幾通りもあるように思われる。
 第一は最初から生活難の背景、又は商売的の意味を持ったもので、男性では俳優その他の芸人、外勤員、祈祷師、各種の治療師、活弁、呉服屋、ボーイ等の男淫売式《サイドビジネス》? の「不良」、又女性ならば職業婦人の第二職業、女優、女給、芸者、半玉、魔窟の女なぞが発揮するアレである。
 第二の方は興味本位、享楽本位から来たもの――今一つ突込んで云えば、思想カブレ、流行カブレ、虚栄、ウヌボレ、自暴自棄なぞいう内的原因から起った不良性の嵩じたもので、生活難の背景だの、商売的の意味だのが極めて薄い。たとえば男女の学生、華族や富豪のお坊ちゃん嬢ちゃんなぞがあらわす不良性は、大部分この方に属すると見ていい。
 一般にはこれをゴッチャにして、一列一体に不良と名付けているようであるが、記者の云う「不良」は、どちらかと云えば後者を指しているつもりである。
 ところで、後の方の不良性を調べて見ると、三期に分ける事が出来るようである。
 先ず人間性が卑屈な形式であらわれるとする。初めのうちは親兄弟や先生を困らせる程度であるが、だんだんと図々しくなって深みに這入る。この程度を第一期と名づける。
 とうとう社会を困らせるようになって、その筋の閻魔帳《ブラックリスト》に割り込む。この程度を二期とする。
 もっと進むと商売化する。社会から圧迫されて、不良を本職にしなければ喰えないようになる。これを第三期と見る。
 これ以上は大抵大人の仲間に這入ってしまう。そうしてもっと悪性になるか、真面目にかえるかする。いずれにしても「不良少年少女」とは云えない。
 記者が最初に「本物の不良」と名づけたのは、この中の第二期から三期のものを指しているつもりである。
 但、実際上うようよしている不良を、第何類だの、第何期だのとハッキリ区別する事は絶対に出来ない。皆、複雑した動機と経過を持って
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