が、不成績で入学していないからであることがわかった。
そんな例がある一方に、上級生の堕落やおのろけや、落《おと》し文《ぶみ》が、下級生を刺戟しているのではあるまいかと考えられる廉《かど》もあるから、いっその事、同級生ばかりを一室に入れて成績を見てはどうかという意見が教員間に持ち上っている……云々。
この話だけでも、東京の女性の積極化傾向が如何に急激であるかが、充分に裏書されている。
持てる一高と帝大生
麹町《こうじまち》の某署の刑事は、こんな事を記者に話した。
「東京の女学生の好き嫌いは大抵きまっています。明治や慶応の生徒はニヤケているからダメ、早稲田は豪傑ぶるからイヤ。一高と帝大が一番サッパリしていて、性格が純だから[#「性格が純だから」に傍点]つき合いいいと云います。それから、そんな学生の中でも一番好かれるのは運動家で、その次が音楽の上手、演説、文章、絵の上手はその又次だそうです。学生以外で好かれるのは活動俳優で、とても一生懸命です。『日本の男俳優は肉体美がないから駄目』なぞとよく云っています。運動選手を好くのはそんなところからでしょう」云々。
昔の少女はかぐわしい夢のようなヴェールを透して世界を見た。今の少女はそのヴェールをかなぐり棄て、現実界を直視している。
先年、英国皇太子が日本を訪《と》われた時、
「英国の皇《こう》チャーン」
とか何とか連呼してハンケチや旗をふりまわしたはまだしも、本郷付近で算を乱して自動車のあとを追っかけた女学生の群があったと聴いた時、記者はまさかと思った。
ところが、今度上京して見て驚いた。とてもそれどころでない。
式前にふざける花嫁
警察で自由恋愛論をやった女学生があった事は前に書いた。
結婚式の始まらぬ前から婿殿の処へ押かけて、キャッキャと笑い話をした某勅撰議員の令嬢があった。そのほか、式の最中から色眼を使ったり、式が済むと直ぐに倚り添って、ねえあなた式のそぶりや口の利き方をする花嫁が殖えたという某神官の話はまだ書かぬ。
某女学校で震災前に投書箱を据え付けたが、一人も投書するものがなかった。それが震災後急に殖えたはいいが、大部分は仲間同志の不品行を中傷したものであった。最も甚だしいのは、昨年の秋の事、二三十人申し合わせたらしく、性教育の必要を高唱した投書が、しかも堂々と署名して箱一
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