になっている。これは明らかに東京市中の震災後の人気を物語っているので、殊にそれが、震災の影響を遠ざかった大正十三年前半期中の状態であるだけに、一層の興味を惹くのである。或る署員の話に依ると、この頃の詐欺の被害者の届出は非常に早くなった。これは泥棒でも同様で、一体に出来るだけ警察を頼るようになったようである。しかし一方、逃げる手段も非常に巧妙になったので、なかなか捕えるのに骨が折れるとは、そうもありそうな事である。
 これに反して東京市中の賭博《ばくち》は非常に増加しているが、捕まる数も同様に非常に殖えている。これは下層民に金が多いのと、射倖心《しゃこうしん》が旺盛なのと、素人《しろうと》賭博が殖えたのと、家がバラックで露見し易いなぞいう原因からこうなったのである。
 序に書いておくが、震災後の東京に賭博の殖えた事は非常なものである。その中でも支那式と朝鮮式が最も多い。これはそういった労働者が多数に入り込んで宣伝した結果で、しかも労働者ばかりでなく、昨今では中流から上流まで押上って旺盛を極めている。殊に支那式の麻雀なぞいうのは、高価な道具を使うので上流社会に持《も》て囃《はや》されて、多
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