であるが。しかもこういった式がバラック以来の流行である事は間違いない。先年、京都で或るお医者様がビラを配って大問題になった事を考えると、隔世の感があるのである。
特に九大を有する福岡市のために書き添えておく。
次に御紹介をしておきたいのは、「商品名懸賞募集」と「価格懸賞投票」という二つの広告法である。この方面の智識に暗い記者は未だ福岡市でこの種のものを見た事がないから、バラック式の一例として挙げたのであるが、珍らしくなかったら御免なさい。
商品名募集というのは、鼻紙とか鉛筆とかいうものの新製品を、繁華な往来に並べて価格を付けておく。買いたい人は買うのであるが、その紙なら紙が上等なわりに価格が安いのに、何という紙か名前が付いていない。
その側に大きな看板を立て、
「名前をつけて下さい
(商品の民衆化)
皆様の文化的要求に応じて
新しく生れたこの紙に……」
と大書して、締切り期日や審査員の文士? の名前となにがしかの懸賞金額が赤丸付きで発表してある。その傍《かたわら》には鉛筆五六本と紙と投票箱が置いてある。
こうして一月ばかりして開票されると、投票数が何千何百人、
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