私がここまで荷《かつ》いで来て解いて上げたのです……サアこれで私のお話はおしまいです。今度はあなたがお話しをなさる番です」
「え……私がお話をする番ですって?……」
「そうです。いったいあなたはどうしてこの国へお出でになったのですか? あなたはいったいどこの国のおかたですか?」
 姫はこう尋ねられますと、急に恥かしくなって顔を真赤にしましたけれども、自分の生命《いのち》を助けられた人に隠してはいけないと思いましたから、初めから何もかもすっかりお話をしました。
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……自分がオシャベリ姫と云われたわけ……
……短刀と蜘蛛の夢を見たこと……
……それを二人のお付の女中に話したら「それは今によいことがある夢だ」と云ったこと……
……それをお父様の王様とお母様のお妃にお話しをしたけれども、二人の女中が後でそんなお話はきかぬと嘘をついたこと……
……そのためにお父様の王様がお憤《おこ》りになって、姫は石の牢屋に入れられたこと……
……それから猫の案内で雲雀の国から蛙の国をまわって、どこでもオシャベリのために非道い目に合って、やっとこの国まで逃げて来たこと……
……それから王様
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