世界に今も存在する少数の歪んだ視力の持主たちは、このウラル号を見て、ふしぎな感を懐くことであろう。これこそ呉越同舟だというかもしれない。
 だがそんな見方は、始めから誤っているのだ。今日となっては、もはや地球人類の間に呉越同舟だなんて見方は成立しないのである。いや、厳密にいえば、ずっと前からそんな悲しむべき状態は存在しなかったのである。広大なる宇宙の中に真に渺《びょう》たる存在であるわが地球、その地球に棲む人類たちが、互いに反目したってそこに何の益があろうか。宇宙は広大である。数十億数百億の恒星に付随する惑星の数は真に無数であり、それらに棲息する高等生物の数はこれまた数えることが出来ないほど夥しいものがある。その中に、わが地球人類が最高等だとは、いかなる自惚れ強き者とても考えないであろう。地球上においてはなるほど、人類が最も知能にすぐれてはいるが、この広大なる宇宙には、われら人類よりも数等数十等高級な生物が棲息しているだろうことが容易に想像されるのだ。
 そういう他の惑星の高等生物をまだわれわれが一度も見たことがないという理由によって、そういう高等生物が存在しないというものがあった
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