あるのだ。さきに、超音波の方向探知機で探しあてたものは正にこれに違いなかったし、そして当時想像していたよりも実物はずっと巨大なものであった。
 突然大砲を撃ったような大きな音が聞こえた。そして水戸が立っているところから十メートルばかり横のところが爆発したように思った。水戸は周章《あわ》ててその場に寝た。
 それは爆発ではなく、多量の空気がぶくぶくと噴出したのであった。間もなく城壁の一部ががたんと外《はず》れて横たおしになった。それはお城の吊橋《つりばし》を下ろしたような工合のものであった。果たして中から、どやどやと数人の姿があらわれて海底に立ったその姿をよく見ると、まるで大きな南京豆《ナンキンまめ》を縦にしたような形をしていた。そしてその下部や胴中から、細い肢や手のようなものが出ていた。これは例の怪物が潜水服を着た姿なのであろうと、水戸は諒解した。
 怪物の一隊は、ぞろぞろ歩きだした。その向かうところを辿って行くと、ワーナー調査団の連中の倒れている場所が彼等の目的らしく思われた。一体何が始まるというのであろうか。
 怪物どもは、ずんずん歩いて行って、やがて目的の場所へ着いた、すると彼等
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