だらうといふのであつた。それで交通機關の混亂に陷らないうちに、一日も早くボルドーへ行つて、そこで船の入るのを待つてもらひたい。その船を取りはづすと、今後は日本へ歸る船をフランスでつかまへ得るかどうかわからない。さういはれて見ると、とにかく鹿島丸に便乘を申し込んで置かないわけには行かなかつた。(靖國丸はノールウェイのベルゲンに待機してゐたが、そのままイギリスの北を※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]つて歸途についたので、イギリスにもフランスにも寄港しないといふ。)
柳澤氏とは東京での再會を約束して別れ、私はM君としばらく話したが、昨夜の觀察とはちがひ、今朝になると急激に形勢が惡化したので、ロンドンへ歸ることは思ひ止まつてもらひたい、といふ。今一人のM君もそこへ來て、ボルドー行を勸めて口を添へる。
私もその時はすでにその氣持になつてゐたのだが、話の途中で柳澤氏にサン・セバスティアンへのことづけを頼むことを思ひ出したので、(柳澤氏は車でボルドーからエスパーニャを横斷してリスボアへ歸ると聞いたので、)ちよつと中座して、あまり遠くない柳澤氏のホテルへ車を飛ばして行くと、家族の人たちはも
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