oーカムステッドという小さい村を通るといかにも古い家々が太い材木の骨を壁の上に露出して、屋根瓦は苔で青くなって居り、前庭にはダフォディルや、名前は知らないが紫の美しい草花などが咲き出していた。気の弱い孤独な病身な詩人のことを私はしばらく思い出していた。しかし、彼が五十を過ぎて親切な女友だちに慰められながら『ジョン・ギルピン』や『ザ・タスク』などの詩を書いたオーニという村は、私たちの通ってる所から二十四五マイルも北にあることを地図で知った。
 沿道の郊野はどこも気持よく手入れされ、古いものは古いなりによく保存されてあるのが、私たちを喜ばしたが、バンベリの手前のエインホウという村ほど惹きつけられた所はなかった。その村は高台になっていて、南西にはオクスフォードが近く、北西はバンベリを経てウォリク、レミントン、或いはバーミンガムへの通路があり、交通の要路であったが、鉄道が開通してから淋しく取り残された土地と見えて、今まで見たどの村よりも古風な趣があり、まばらに並んでる家々は、多くは灰白色の石で畳み上げられて、或いは白堊で塗りつぶされたりしてるのが、いかにも古びに古びて、背景の美しい自然とよく調
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