》へたりせば、わが汝に表《あら》はす愛は葉のみにとゞまらざりしなるべし 五五―五七
ローダノがソルガと混《まじ》りし後に洗ふ左の岸は、時に及びてわがその君となるを望み 五八―六〇
バーリ、ガエタ及びカートナ際涯《はて》を占め、トロント、ヴェルデの流れて海に入る處なるアウソーニアの角《つの》もまたしか望みき 六一―六三
はやわが額《ひたひ》には、ドイツの岸を棄てし後ダヌービオの濕《うるほ》す國の冠かゞやきゐたり 六四―六六
またエウロに最もわづらはさるゝ灣の邊《ほとり》パキーノとペロロの間にて、ティフェオの爲ならずそこに生ずる硫黄の爲に烟《けむ》る 六七―
かの美しきトリナクリアは、カルロとリドルフォの裔《すゑ》我よりいでゝその王となるを今も望み待ちしなるべし ―七二
民の心を常に荒立《あらだつ》る虐政パレルモを動かして、死せよ死せよと叫ばしむるにいたらざりせば 七三―七五
またわが兄弟にして豫めこれを見たらんには、カタローニアの慾と貪とをはやくも避けて、その禍ひを自ら受くるにいたらざりしなるべし 七六―七八
そはげに彼にてもあれ他《ほか》の人にてもあれ、はや荷の重き彼の船にさらに荷を積むなからんため備へを成さゞるをえざればなり 七九―八一
物惜しみせぬ性《さが》より出でゝ吝《やぶさか》なりし彼の性は、貨殖に心專ならざる部下を要せむ。 八二―八四
わが君よ、我は汝の言《ことば》の我に注ぐ深き喜びが、一切の善の始まりかつ終る處にて汝に見らるゝことわがこれを見る如しと 八五―
信ずるがゆゑに、その喜びいよ/\深し、我また汝が神を見てしかしてこれをさとるを愛《め》づ ―九〇
汝我に悦びをえさせぬ、さればまた教へをえさせよ(汝語りて我に疑ひを起さしめたればなり)――苦《にが》き物いかにして甘き種より出づるや。 九一―九三
我かく彼に、彼即ち我に。我もし汝に一の眞理を示すをえば、汝は汝の尋《たづ》ぬる事に顏を向《むく》ること今背をむくる如くなるべし 九四―九六
汝の昇る王國を遍《あまね》くめぐらしかつ悦ばすところの善は、これらの大いなる物體において、己が攝理を力とならしむ 九七―九九
また諸※[#二の字点、1−2−22]の自然のみ、自《おのづか》ら完き意《こゝろ》の中に齊《とゝのへ》らるゝにあらずして、かれらとともにその安寧もまた然《しか》せらる 一〇〇―一〇二
是故にこの弓の射放つものは、みな豫《あらかじ》め定められたる目的《めあて》にむかひて落ち、あたかも己が的《まと》にむけられし物の如し 一〇三―一〇五
もしこの事|微《なか》りせば、今汝の過行く天は、その果《み》を技藝に結ばずして破壞にむすぶにいたるべし 一〇六―一〇八
しかしてこはある事ならじ、もし此等の星を動かす諸※[#二の字点、1−2−22]の智備はらず、またかく此等を完からしめざりし第一の智に缺處《かくるところ》あるにあらずば 一〇九―一一一
汝この眞理をなほも明かにせんと願ふや。我。否《いな》然《しか》らず、我は自然が必要の事に當りて疲るゝ能はざるを知ればなり。 一一二―一一四
彼即ちまた。いざいへ、世の人もし一市民たらずば禍ひなりや。我答ふ。然り、その理《ことわり》は我問はじ。 一一五―一一七
人各※[#二の字点、1−2−22]世に住むさまを異にし異なる職務《つとめ》をなすにあらずして市民たることを得るや、汝等の師の記《しる》す所正しくば然《しか》らず。 一一八―一二〇
かく彼論じてこゝに及び、さて結びていふ。かゝれば汝等の業《わざ》の根も、また異ならざるをえず 一二一―一二三
是故に一人《ひとり》はソロネ、一人はセルゼ、一人はメルキゼデク、また一人は空《そら》を飛びつゝわが子を失へる者とし生る 一二四―一二六
人なる蝋に印を捺《お》す諸※[#二の字点、1−2−22]の天の力は、善く己が技《わざ》を爲せども彼家《かのや》此家《このや》の差別《けじめ》を立てず 一二七―一二九
是においてかエサウはヤコブと種《たね》を異にし、またクイリーノは人がこれをマルテに歸するにいたれるほど父の賤《いや》しき者なりき 一三〇―一三二
もし神の攝理勝たずば、生れし性《さが》は生みたるものと常に同じ道に進まむ 一三三―一三五
汝の後《うしろ》にありしもの今前にあり、されど汝と語るわが悦びを汝に知らしめんため、われなほ一の事を加へて汝の表衣《うはぎ》となさんとす 一三六―一三八
それ性《さが》は、命運これに配《そ》はざれば、あたかも處を得ざる種のごとく、その終りを善くすることなし 一三九―一四一
しかして下界もしその心を自然の据《す》うる基《もとゐ》にとめてこれに從はゞその民|榮《さか》えむ 一四二―一四四
しかるに汝等は、劒を腰に帶びんがために生れし者を枉《ま》げて僧とし、法《のり》を説く
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