bォ光は、これにふさはしき冠とならざるをえじ 七〇―七二
さればかれらは、己が行爲《おこなひ》の徳によらず、たゞ最初の視力の鋭さ異なるによりてその置かるゝ段《きだ》を異にす 七三―七五
世の未だ新しき頃には、罪なき事に加へてたゞ兩親《ふたおや》の信仰あれば、げに救ひをうるに足り 七六―七八
第一の世終れる後には、男子《なんし》は割禮によりてその罪なき羽に力を得ざるべからざりしが 七九―八一
恩惠《めぐみ》の時いたれる後には、クリストの全き洗禮《バッテスモ》を受けざる罪なき稚兒《をさなご》かの低き處に抑《と》められき 八二―八四
いざいとよくクリストに似たる顏をみよ、その輝のみ汝をしてクリストを見るをえしむればなり。 八五―八七
我見しに、諸※[#二の字点、1−2−22]の聖なる心(かの高き處をわけて飛ばんために造られし)の齎《もた》らす大いなる悦びかの顏に降注《ふりそゝ》ぎたり 八八―九〇
げに先にわが見たる物一としてこれの如く驚をもてわが心を奪ひしはなく、かく神に似しものを我に示せるはなし 九一―九三
しかしてさきに彼の上に降れる愛、幸《さち》あれマリア恩惠《めぐみ》滿つ者よと歌ひつゝ、その翼をかれの前にひらけば 九四―九六
天の宮人《みやびと》達四方よりこの聖歌に和し、いづれの姿も是によりていよ/\燦《きらび》やかになりたりき 九七―九九
あゝ永遠《とこしへ》の定《さだめ》によりて坐するそのうるはしき處を去りつゝ、わがためにこゝに下るをいとはざる聖なる父よ 一〇〇―一〇二
かのいたく喜びてわれらの女王の目に見入り、燃ゆと見ゆるほどこれを慕ふ天使は誰ぞや。 一〇三―一〇五
あたかも朝の星の日におけるごとくマリアによりて美しくなれる者の教へを、我はかく再び請《こ》へり 一〇六―一〇八
彼我に。天使または魂にあるをうるかぎりの剛《つよ》さと雅《みや》びとはみな彼にあり、われらもまたその然るをねがふ 一〇九―一一一
そは神の子がわれらの荷を負《お》はんと思ひ給ひしとき、棕櫚《しゆろ》を持ちてマリアの許《もと》に下れるものは彼なればなり 一一二―一一四
されどいざわが語り進むにつれて目を移し、このいと正しき信心深き帝國の大いなる高官《つかさ》達を見よ 一一五―一一七
かの高き處に坐し、皇妃にいと近きがゆゑにいと福《さいはひ》なるふたりのものは、この薔薇の二つの根に當る 一一八―一二〇
左の方にて彼と並ぶは、膽《きも》大《ふと》く味へるため人類をしてかゝる苦《にが》さを味ふにいたらしめし父 一二一―一二三
右なるは、聖なる寺院の古の父、この愛《め》づべき花の二《ふたつ》の鑰《かぎ》をクリストより委《ゆだ》ねられし者なり 一二四―一二六
また槍と釘とによりて得られし美しき新婦《はなよめ》のその時々の幸《さち》なさをば、己が死なざるさきにすべて見し者 一二七―一二九
これが傍に坐し、左の者の傍には、恩を忘れ心|恒《つね》なくかつ背《そむ》き易《やす》き民マンナに生命《いのち》を支《さゝ》へし頃かれらを率《ひき》ゐし導者坐す 一三〇―一三二
ピエートロと相對《あひむか》ひてアンナの坐するを見よ、彼はいたくよろこびて己が女《むすめ》を見、オザンナを歌ひつゝなほ目を放たじ 一三三―一三五
また最《いと》大いなる家長《いへをさ》の對《むかひ》には、汝が馳《は》せ下らんとて目を垂《た》れしとき汝の淑女を起《た》たしめしルーチア坐す 一三六―一三八
されど汝の睡りの時|疾《と》く過ぐるがゆゑに、あたかも良《よ》き縫物師《ぬひものし》のその有《も》つ織物《きれ》に適《あは》せて衣を造る如く、我等こゝに言《ことば》を止《とゞ》めて 一三九―一四一
目を第一の愛にむけむ、さらば汝は、彼の方《かた》を望みつゝ、汝の及ぶかぎり深くその輝を見るをうべし 一四二―一四四
しかはあれ、汝己が翼を動かし、進むと思ひつゝ或ひは退《しりぞ》く莫《なか》らんため、祈りによりて、恩惠《めぐみ》を受ること肝要なり 一四五―一四七
汝を助くるをうる淑女の恩惠《めぐみ》を、また汝は汝の心のわが言葉より離れざるほど、愛をもて我にともなへ。 一四八―一五〇
かくいひ終りて彼この聖なる祈りをさゝぐ 一五一―一五三
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   第三十三曲

處女《をとめ》なる母わが子の女《むすめ》、被造物《つくられしもの》にまさりて己を低くししかして高くせらるゝ者、永遠《とこしへ》の聖旨《みむね》の確《かた》き目的《めあて》よ 一―三
人たるものを尊《たふと》くし、これが造主《つくりぬし》をしてこれに造らるゝをさへ厭はざるにいたらしめしは汝なり 四―六
汝の胎用にて愛はあらたに燃えたりき、その熱《あつ》さによりてこそ永遠《とこしへ》の平和のうちにこの花かくは咲きしなれ 七―九
こゝにては我等に
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