をる者の、詛《のろ》ふべき傲慢《たかぶり》なりき 五五―五七
またこゝに見ゆる天使達は、謙《へりくだ》りて、かの善即ちかれらをしてかく深く悟るにいたらしめたる者よりかれらの出しを認めたれば 五八―六〇
恩惠《めぐみ》の光と己が功徳とによりてその視る力増したりき、是故にその意志備りて固し 六一―六三
汝疑ふなかれ、信ぜよ、恩惠《めぐみ》を受くるは功徳にて、この功徳は恩惠を迎ふる情の多少に應ずることを 六四―六六
汝もしわが言《ことば》をさとりたらんには、たとひ他《ほか》の助けなしとも、今やこの集會《つどひ》につきて多くの事を想ふをえむ 六七―六九
されど地上汝等の諸※[#二の字点、1−2−22]の學寮にては、天使に了知、記憶、及び意志ありと教へらるゝがゆゑに 七〇―七二
我さらに語り、汝をして、かゝる教へにおける言葉の明らかならざるため下界にて紛《まが》ふ眞理の純なる姿を見しむべし 七三―七五
そも/\これらの者は、神の聖顏《みかほ》を見て悦びし時よりこの方、目をこれ(一物としてこれにかくるゝはなし)に背《そむ》けしことなし 七六―七八
是故にその見ること新しき物に阻《はば》まれじ、是故にまたその想《おもひ》の分れたる爲、記憶に訴ふることを要せじ 七九―八一
されば世にては人眠らざるに夢を見つゝ、或は眞《まこと》をいふと信じ或はしかすと信ぜざるなり、後者は罪も恥《はぢ》もまさる 八二―八四
汝等世の人、理《ことわり》を究《きわ》むるにあたりて同一《おなじひとつ》の路を歩まず、これ外見《みえ》を飾るの慾と思ひとに迷はさるゝによりてなり 八五―八七
されどこれとても、神の書《ふみ》の疎《うと》んぜられまたは曲げらるゝに此《くら》ぶれば、そが天上にうくる憎惡《にくしみ》なほ輕し 八八―九〇
かの書《ふみ》を世に播《ま》かんためいくばくの血流されしや、謙《へりくだ》りてこれに親しむ者いかばかり聖意《みこゝろ》に適《かな》ふやを人思はず 九一―九三
各※[#二の字点、1−2−22]|外見《みえ》のために力め、さま/″\の異説を立つれば、これらはまた教を説く者の論《あげつら》ふところとなりて福音ものいはじ 九四―九六
ひとりいふ、クリストの受難の時は、月|退《しざ》りて中間《なか》を隔《へだ》てしため、日の光地に達せざりきと 九七―九九
またひとりいふ、こは光の自ら隱れしためなり、されば猶太人《ジュデーアびと》のみならずスパニア人《びと》もインド人も等しくその缺くるを見たりと 一〇〇―一〇二
ラーポとビンドいかにフィオレンツァに多しとも、年毎《としごと》にこゝかしこにて教壇より叫ばるゝかゝる浮説の多きには若《し》かず 一〇三―一〇五
是故に何をも知らぬ羊は、風を食ひて牧場より歸る、また己が禍ひを見ざることも彼等を罪なしとするに足らじ 一〇六―一〇八
クリストはその最初の弟子達に向ひ、往きて徒言《あだこと》を世に宣傳《のべつた》へといひ給はず、眞《まこと》の礎《いしずゑ》をかれらに授け給ひたり 一〇九―一一一
この礎のみぞかれらの唱《とな》へしところなる、されば信仰を燃《もや》さん爲に戰ふにあたり、かれらは福音を楯《たて》とも槍ともなしたりき 一一二―一一四
今や人々戲言《ざれごと》と戲語《たはけ》とをもて教へを説き、たゞよく笑はしむれば僧帽|脹《ふく》る、かれらの求むるものこの外《ほか》になし 一一五―一一七
されど帽の端《はし》には一羽の鳥の巣くふあり、俗衆これを見ばその頼む罪の赦の何物なるやを知るをえむ 一一八―一二〇
是においてかいと愚《おろか》なること地にはびこり、定かにすべき證《あかし》なきに、人すべての約束の邊《ほとり》に集《つど》ひ 一二一―一二三
聖アントニオは(贋造《まがへ》の貨幣《かね》を拂ひつゝ)これによりて、その豚と、豚より穢《けが》れし者とを肥《こや》す 一二四―一二六
されど我等主題を遠く離れたれば、今目を轉《めぐ》らして正路を見るべし、さらば時とともに途《みち》を短うするをえむ 一二七―一二九
それ天使は數《かず》きはめて多きに達し、人間の言葉も思ひもともなふあたはじ 一三〇―一三二
汝よくダニエールの現はしゝ事を思はゞ、その幾千なる語《ことば》のうちに定かなる數かくるゝを知らむ 一三三―一三五
彼等はかれらをすべて照らす第一の光を受く、但し受くる状態《ありさま》に至りては、この光と結び合ふ諸※[#二の字点、1−2−22]の輝の如くに多し 一三六―一三八
是においてか、情愛は會得《ゑとく》の作用にともなふがゆゑに、かれらのうちのうるはしき愛その熱《あつ》さ微温《ぬる》さを異にす 一三九―一四一
見よ今|永遠《とこしへ》の力の高さと廣さとを、そはこのもの己が爲にかく多くの鏡を造りてそれらの中に碎くれども 一四二―
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