が眠れる間に見たり 六四―六六
しかして彼の爲人《ひとゝなり》を語《ことば》の形に顯《あら》はさんため、靈この處よりくだり、彼は全く主のものなればその意をとりて名となせり 六七―六九
彼即ちドメーニコと呼ばれき、我は彼をば、クリストにえらばれその園にてこれをたすけし農夫にたとへむ 七〇―七二
げに彼はクリストの使《つかひ》またその弟子なることを示せり、かれに現はれし最初の愛はクリストの與へ給ひし第一の訓《さとし》に向ひたればなり 七三―七五
かれの乳母《めのと》は、かれが屡※[#二の字点、1−2−22]目を醒しつゝ默して地に伏し、その状《さま》我このために生るといふが如きを見たり 七六―七八
あゝ彼の父こそ眞《まこと》にフェリーチェ、かれの母こそ眞にジョヴァンナ(若しこれに世の釋《と》く如き意義あらば)といふべけれ 七九―八一
人々が今、かのオスティア人《びと》またはタッデオの後《あと》を逐《お》ひつゝ勞して求むる世の爲ならで、まことのマンナの愛の爲に 八二―八四
彼は程なく大いなる師となり、葡萄の園――園丁《にはつくり》あしくばたゞちに白まむ――をめぐりはじめき 八五―八七
彼が法座(正しき貧者《ひんじや》を今は普の如くいたはらず、されどこはこれに坐する劣《おと》れる者の罪にして法座その物の罪ならじ)に求めしは 八八―九〇
六をえて二三を頒《わか》つことにあらず、最初に空《あ》きたる官をうるの幸《さち》にもあらず、また神の貧者に屬する什一[#「神の貧者に屬する什一」に白丸傍点]にもあらで 九一―九三
汝をかこむ二十四本の草木《くさき》の元《もと》なる種のために、かの迷へる世と戰ふの許《もと》なりしぞかし 九四―九六
かくてかれは教理、意志、及び使徒の任務《つとめ》をもてあたかも激流の、高き脈より押出さるゝごとくに進み 九七―九九
勢|猛《たけ》く異端邪説の雜木《ざつぼく》を打ち、さからふ力のいと大いなる處にては打つことまたいと強かりき 一〇〇―一〇二
この後さま/″\の流れ彼より出でたり、カトリックの園これによりて潤《うるほ》ひ、その叢樹《こだち》いよ/\榮ゆ 一〇三―一〇五
聖なる寺院が自ら衞《まも》りかつ戰場にその内亂を鎭《しづ》めしとき乘りし車の一の輪げにかくの如くならば 一〇六―一〇八
殘の輪――わが來らざるさきにトムマのいたく稱《たゝ》へたる――の秀づる
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