てなり 四九―五一
即ち魂が、自然のこれに肉體を司らしめし時、己の星より分れ出たるものなるを信じて、彼はこの物再びかしこに歸るといへり 五二―五四
或は彼の説く所、その語《ことば》の響と異なり、侮《あなど》るべからざる意義を有することあらむ 五五―五七
もしそれこれらの天にその影響の譽《ほまれ》も毀《そしり》も歸る意ならば、その矢いくばくか眞理に中《あた》らむ 五八―六〇
この原理誤り解《げ》せられてそのかみ殆ど全世界を枉《ま》げ、これをして迷ひのあまりジョーヴェ、メルクリオ、マルテと名づけしむ 六一―六三
汝を惱ますいま一の疑ひは毒少し、そはその邪惡も、汝を導きて我より離すあたはざればなり 六四―六六
われらの正義が人間の目に不正とみゆるは即ち信仰の過程《くわてい》にて異端邪説の過程にあらず 六七―六九
されど汝等の知慧よくこの眞理を穿《うが》つことをうるがゆゑに、我は汝の望むごとく汝に滿足をえさすべし 七〇―七二
もし暴《あらび》とは、強《し》ひらるゝ人いさゝかも強ふる人に與《くみ》せざる時生ずるものゝ謂《いひ》ならば、これらの魂はこれによりて罪を脱《のが》るゝことをえじ 七三―七五
そは意志は自ら願ふにあらざれば滅びず、あたかも火が千度《ちたび》強ひて撓《たわ》めらるともなほその中なる自然の力を現はす如く爲せばなり 七六―七八
是故に意志の屈するは、その多少を問はず、暴《あらび》にこれの從ふなり、而《しか》してこれらの魂は聖所《せいじよ》に歸るをうるにあたりてかくなしき 七九―八一
鐡架《てつきう》の上の苦しみに堪《た》へしロレンツォ、わが手につらかりしムツィオのごとく、彼等の意志|全《まつた》かりせば 八二―八四
彼等が自由となるに及び、この意志直ちに彼等をしてその強ひられて離れし路に再び還《かへ》らしめしなるべし、されどかく固き意志極めて稀《まれ》なり 八五―八七
汝よくこれらの言葉を心にとめてさとれるか、さらばこの後汝をしば/\惱ますべかりし疑ひは、はや必ず解けたるならむ 八八―九〇
されど汝の眼前《めのまへ》に今なほ横たはる一の路あり、こはいと難《かた》き路なれば汝|獨《ひと》りにてはこれを出でざるさきに疲れむ 九一―九三
我あきらかに汝に告げて、福《さいはひ》なる魂は常に第一の眞《まこと》に近くとゞまるがゆゑに僞《いつは》るあたはずといへることあり 
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