なすを見む、詩題と汝、我にかく爲《する》をえしむればなり 二五―二七
父よ、皇帝《チェーザレ》または詩人の譽《ほまれ》のために摘《つ》まるゝことのいと罕《まれ》なれば(人の思ひの罪と恥なり) 二八―三〇
ペネオの女《むすめ》の葉人をして己にかはかしむるときは、悦び多きデルフォの神に喜びを加へざることあらじ 三一―三三
それ小さき火花にも大いなる焔ともなふ、おそらくは我より後、我にまさる馨ありて祈《ね》ぎ、チルラの應《こたへ》をうるにいたらむ 三四―三六
世界の燈《ともしび》多くの異《こと》なる處より上《のぼ》りて人間にあらはるれども、四の圈相合して三の十字を成す處より 三七―三九
出づれば、その道まさり、その伴ふ星またまさる、而《しか》してその己が性《さが》に從ひて世の蝋を整《とゝの》へ象《かた》を捺《お》すこといよ/\著《いちじる》し 四〇―四二
かしこを朝《あした》こゝを夕《ゆふべ》となしゝ日は殆どかゝる處よりいで、いまやかの半球みな白く、その他《ほか》は黒かりき 四三―四五
この時我見しに、ベアトリーチェは左に向ひて目を日にとめたり、鷲だにもかくばかりこれを凝視《みつめ》しことあらじ 四六―四八
第二の光線常に第一のそれよりいでゝ再び昇る、そのさま歸るを願ふ異郷の客に異ならず 四九―五一
かくのごとく、彼の爲《な》す所――目を傳ひてわが心の内に入りたる――よりわが爲す所いで、我は世の常を超《こ》えて目を日に注げり 五二―五四
元來《もとより》人の住處《すまひ》として造られたりしところなれば、こゝにてはわれらの力に餘りつゝかしこにてはわれらが爲すをうること多し 五五―五七
わが目のこれに堪《た》ふるをえしはたゞ些《すこし》の間なりしも、そがあたかも火よりいづる熱鐡の如く火花をあたりに散《ちら》すを見ざる程ならざりき 五八―六〇
しかして忽ち晝晝に加はり、さながらしかすることをうる者いま一の日輪にて天を飾れるごとく見えたり 六一―六三
ベアトリーチェはその目をひたすら永遠《とこしへ》の輪にそゝぎて立ち、我はわが目を上より移して彼にそゝげり 六四―六六
かれの姿を見るに及び、わが衷《うち》あたかもかのグラウコが己を海の神々の侶たらしむるにいたれる草を味へる時の如くになりき 六七―六九
抑※[#二の字点、1−2−22]《そも/\》超人の事たるこれを言葉に表《あら》はし
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