き 九四―九六
彼我に曰《い》ふ。完き生涯と勝《すぐ》るゝ徳とはひとりの淑女をさらに高き天に擧ぐ、その法《のり》に從ひて衣を着《き》面※[#「巾+白」、第4水準2−8−83]《かほおほひ》を付《つく》る者汝等の世にあり 九七―九九
彼等はかくしてかの新郎《はなむこ》、即ち愛より出るによりて己が心に適《かな》ふ誓ひをすべてうけいるゝ者と死に至るまで起臥《おきふし》を倶《とも》にせんとす 一〇〇―一〇二
かの淑女に從はんため我若うして世を遁《のが》れ、身に彼の衣を纏《まと》ひ、またわが誓ひをその派の道に結びたり 一〇三―一〇五
その後、善よりも惡に親しむ人々、かのうるはしき僧院より我を引放しにき、神知り給ふ、わが生涯のこの後いかになりしやを 一〇六―一〇八
またわが右にて汝に現はれ、われらの天のすべての光にもやさるゝこの一の輝《かゞやき》は 一〇九―一一一
わが身の上の物語を己が身の上の事と知る、彼も尼なりき、また同じさまにてその頭《かうべ》より聖なる首※[#「巾+白」、第4水準2−8−83]《かしらぎぬ》の陰《かげ》を奪はる 一一二―一一四
されど己が願ひに背《そむ》きまた良《よ》き習《ならはし》に背きてげに世に還《かへ》れる後にも、未だ嘗《かつ》て心の面※[#「巾+白」、第4水準2−8−83]《かほおほひ》を釋《と》くことなかりき 一一五―一一七
こはソアーヴェの第二の風によりて第三の風即ち最後の威力《ちから》を生みたるかの大いなるコスタンツァの光なり。 一一八―一二〇
かく我に語りて後、かれはアーヴェ・マリーアを歌ひいで、さてうたひつゝ、深き水に重き物の沈む如く消失《きえう》せき 一二一―一二三
見ゆるかぎり彼のあとを追ひしわが目は、これを見るをえざるに及び、さらに大いなる願ひの目的《めあて》にかへり來りて 一二四―一二六
全くベアトリーチェにそゝげり、されど淑女いとつよくわが目に煌《きら》めき、視力《みるちから》はじめこれに耐《た》へざりしかば 一二七―一二九
わが問これがために後《おく》れぬ。 一三〇―一三二
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   第四曲

等《ひと》しく隔《へだた》り等しく誘《いざな》ふ二の食物《くひもの》の間にては、自由の人、その一をも齒に觸れざるさきに饑《う》ゑて死すべし 一―三
かくの如く、二匹の猛《たけ》き狼の慾と慾との間にては一匹の羔《こひつじ》
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