三七―三九
しかして我等をいと高うする眞理をば地に齎《ひと》しゝ者の名を、はじめてかの山に傳へしものは即ち我なり 四〇―四二
またいと深き恩惠《めぐみ》わが上に輝きたれば、我そのまはりの村里《むらざと》をして、世界を惑はしゝ不淨の禮拜《らいはい》を脱《のが》れしむ 四三―四五
さてこれらの火は皆默想に心を寄せ、聖なる花と實とを生ずる熱によりて燃《もや》されし人々なりき 四六―四八
こゝにマッカリオあり、こゝにロモアルドあり、またこゝに足を僧院の内に止めて道心|堅固《けんご》なりしわが兄弟達あり。 四九―五一
我彼に。我と語りて汝が示す所の愛と汝等のすべての焔にわが見て心をとむる好《よ》き姿とは 五二―五四
わが信頼の念を伸べ、そのさま日の光が薔薇を伸《の》べてその力のかぎり開くにいたらしむるごとし 五五―五七
是故に父よ汝に請ふ、われ大いなる恩惠《めぐみ》を受けて汝の貌《かたち》を顯《あらは》に見るをうべきや否《いな》や、定《さだ》かに我に知らしめよ。 五八―六〇
是においてか彼。兄弟よ、汝の尊き願ひは最後の球にて滿《みた》さるべし、こはわが願ひも他の凡ての願ひも皆|滿《みた》さるゝところなり 六一―六三
かしこにては誰《た》が願ひも備はり、熟し、圓《まどか》なり、かの球においてのみこれが各部はその常にありしところにとゞまる 六四―六六
そはこれ場所を占むるにあらず、軸を有《も》つに非《あらざ》ればなり、われらの梯子《はしご》これに達し、かく汝の目より消ゆ 六七―六九
族長ヤコブその頂の高くかしこに到るを見たり、こはこれがいと多くの天使を載せつゝ彼に現はれし時なりき 七〇―七二
然るに今はこれに登らんとて地より足を離す者なし、わが制《おきて》は紙を損《そこな》はんがために殘るのみ 七三―七五
僧坊たりしむかしの壁は巣窟となりぬ、法衣《ころも》はあしき粉《こな》の滿ちたる袋なり 七六―七八
げに不當の高利といふとも、神の聖旨《みむね》に逆《さから》ふこと、僧侶の心をかく狂はしむる果《み》には及ばじ 七九―八一
そは寺院の貯《たくはへ》は皆神によりて求むる民の物にて、親戚またはさらに賤《いや》しき人々の物ならざればなり 八二―八四
そも/\人間の肉はいと弱し、されば世にては、善く始められし事も、樫《かし》の生出《おひいづ》るより實を結ぶにいたるまでだに續かじ 八五―八
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