》に齎《もたら》すところの患《うれへ》見ゆべし 一一八―一二〇
そこにはかのスコットランド人《びと》とイギリス人とを狂はし、そのいづれをも己が境の内に止まる能はざらしむる傲慢《たかぶり》(渇《かわき》を起す)見ゆべし 一二一―一二三
スパニアの王とボエムメの王(この人|嘗《かつ》て徳を知らずまた求めしこともなし)との淫樂《いんらく》と懦弱《だじやく》の生活と見ゆべし 一二四―一二六
イエルサレムメの跛者《あしなへ》の善は一のI《イ》にて記《しる》され、一のM《エムメ》はその惡の記號《しるし》となりて見ゆべし 一二七―一二九
アンキーゼが長生《ながきいのち》を畢《を》へし處なる火の島を治むる者の強慾と怯懦《けふだ》と見ゆべし 一三〇―一三二
またかれのいみじき小人なるをさとらせんため、その記録には略字を用ゐて、些《すこし》の場所に多くの事を言現はさむ 一三三―一三五
またいと秀《ひい》づる家系《いへがら》と二の冠とを辱めたるその叔父と兄弟との惡しき行《おこなひ》は何人にも明らかなるべし 一三六―一三八
またポルトガルロの王とノルヴェジアの王とはかの書《ふみ》によりて知らるべし、ヴェネージアの貨幣《かね》を見て禍ひを招けるラシアの王また然り 一三九―一四一
あゝ重ねて虐政を忍ばずばウンガリアは福なる哉、取卷く山を固《かため》となさばナヴァルラは福なる哉 一四二―一四四
またこの事の契約として、ニコシアとファマゴスタとが今既にその獸――他の獸の傍《かたへ》を去らざる――の爲に 一四五―一四七
嘆き叫ぶを人皆信ぜよ。
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   第二十曲

全世界を照らすもの、わが半球より、遠くくだりて、晝いたるところに盡くれば 一―三
さきにはこれにのみ燃《もや》さるゝ天、忽ち多くの光――一の光をうけて輝く――によりて再び己を現はすにいたる 四―六
かゝる天の現象《すがた》なりき、世界とその導者達との徴號《しるし》の尊き嘴|默《もだ》しゝ時、わが心に浮べるものは 七―九
そはかの諸※[#二の字点、1−2−22]の生くる光は、みないよ/\強く光りつゝ、わが記憶より逃げ易《やす》く消え易き歌をうたひいでたればなり 一〇―一二
あゝ微笑《ほゝゑみ》の衣を纏《まと》ふうるはしき愛よ、聖なる思ひの息《いき》のみ通へるかの諸※[#二の字点、1−2−22]の笛の中に汝はいかに熱《あつ》く見
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