この永遠の目より汝の行末のわが目に入り來ることあたかも樂器よりうるはしき和合の音の耳に入り來る如し 四三―四五
イッポリートが無情邪險の繼母《まゝはゝ》の爲にアテーネを去れるごとく、汝フィオレンツァを去らざるべからず 四六―四八
日毎《ひごと》にクリストの賣買《うりかひ》せらるゝ處にてこれを思ひめぐらす者これを願ひかつはや企圖《たくみ》ぬ、さればまた直ちにこれを行はむ 四九―五一
虐《しひた》げられし人々に世はその常の如く罪を歸すべし、されど刑罰はこれを頒《わか》ち與ふるものなる眞《まこと》の爲の證《あかし》とならむ 五二―五四
いと深く愛する物をば汝|悉《こと/″\》く棄て去らむ、是即ち流罪《るざい》の弓の第一に射放つ矢なり 五五―五七
他人《ひと》の麺麭《パン》のいかばかり苦《にが》く他人《ひと》の階子《はしご》の昇降《のぼりくだり》のいかばかりつらきやを汝自ら驗《ため》しみむ 五八―六〇
しかして最も重く汝の肩を壓《お》すものは、汝とともにこの溪《たに》に落つる邪惡庸愚の侶なるべし 六一―六三
かれら全く恩を忘れ狂ひ猛《たけ》りて汝に背《そむ》かむ、されどかれら(汝にあらず)はこれが爲に程なく顏を赤うせむ 六四―六六
かれらの行爲《おこなひ》は獸の如きその性《さが》の證《あかし》とならむ、されば汝|唯一人《たゞひとり》を一の黨派たらしむるかた汝にとりて善《よ》かるべし 六七―六九
汝の第一の避所《さけどころ》第一の旅舍《やどり》は、聖なる鳥を梯子《はしご》の上におくかの大いなるロムバルディア人《びと》の情《なさけ》ならむ 七〇―七二
彼汝に對《むか》ひて深き好意《よしみ》を有《も》つが故に、爲す事と求むる事との中《うち》他の人々の間にてはいと遲きものも汝等|二人《ふたり》の間にては先となるべし 七三―七五
己が功《いさを》の世に顯《あら》はるゝにいたるばかりこの強き星の力を生るゝ時に受けたる者をば汝彼の許《もと》に見む 七六―七八
人々未だこの者を知らじ、そはその年若く諸天のこれをめぐれることたゞ九年《こゝのとせ》のみなればなり 七九―八一
されどかのグアスコニア人《びと》が未だ貴きアルリーゴを欺《あざむ》かざるさきにその徳の光は、銀《かね》をも疲《つかれ》をも心にとめざる事において現はれむ 八二―八四
その諸※[#二の字点、1−2−22]の榮《はえ》ある業
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