わが師|雙手《もろて》をひらきてしづかに草の上に置きたり、我即ちその意《こゝろ》をさとり 一二四―一二六
彼にむかひて涙に濡るゝ頬をのべしに、彼は地獄のかくせる色をこと/″\くこゝにあらはせり 一二七―一二九
かくて我等はさびしき海邊《うみべ》、その水を渡れる人の歸りしことなきところにいたれり 一三〇―一三二
こゝに彼、かの翁の心に從ひ、わが腰を括《くゝ》れるに、奇なる哉謙遜の草、彼えらびてこれを採るや 一三三―一三五
その抜かれし處よりたゞちに再び生《お》ひいでき 一三六―一三八
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第二曲
日は今子午線のそのいと高きところをもてイエルサレムを蔽ふ天涯にあらはれ 一―三
これと相對《あひむか》ひてめぐる夜《よ》は、天秤《はかり》(こは夜の長き時その手より落つ)を持ちてガンジェを去れり 四―六
さればわがゐしところにては、美しきアウローラの白き赤き頬、年ふけしため柑子《かうじ》に變りき 七―九
我等はあたかも路のことをおもひて心進めど身止まる人の如くなほ海のほとりにゐたるに 一〇―一二
見よ、朝《あした》近きとき、わたつみの床《ゆか》の上西の方《かた》低きところに
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