かならざりしかど)ベアトリーチェが、身たゞ一にて性《さが》二ある獸のかたにむかふを見たり 七九―八一
面※[#「巾+白」、第4水準2−8−83]《かほおほひ》におほはれ、流れのかなたにありてさへ、彼はその未だ世にありし頃世の女|等《たち》に優《まさ》れるよりもさらに己が昔の姿にまされりとみゆ 八二―八四
悔《くい》の刺草《いらくさ》いたく我を刺ししかば、すべてのものの中にて最も深く我を迷はしわが愛を惹けるものわが最も忌嫌《いみきら》ふものとはなりぬ 八五―八七
我かく己が非をさとる心の痛みに堪へかねて倒れき、此時我のいかなるさまにてありしやは我をこゝにいたらしめし者ぞ知るなる 八八―九〇
かくてわが心その能力《ちから》を外部《そと》に還せし時、我は先に唯獨りにて我に現れし淑女をば我|上《うへ》の方《かた》に見たり、彼曰ふ。我を捉《とら》へよ我をとらへよ。 九一―九三
彼は流れの中に既に我を喉まで引入れ、今己が後《うしろ》より我を曳きつゝ、杼《ひ》のごとく輕く水の上を歩めるなりき 九四―九六
われ福《さいはひ》の岸に近づけるとき、汝我に注ぎ給へ[#「汝我に注ぎ給へ」に白丸傍点]といふ聲聞
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