閾《しきみ》にいたりて生を變ふるにおよび、彼たゞちに我をはなれ、身を他人《あだしびと》にゆだねぬ 一二四―一二六
われ肉より靈に登りて美も徳も我に増し加はれるとき、彼却つて我を愛せず、かへつて我をよろこばす 一二七―一二九
いかなる約束をもはたすことなき空しき幸《さいはひ》の象《かたち》を追ひつゝその歩《あゆみ》を眞《まこと》ならざる路にむけたり 一三〇―一三二
我また乞ひて默示をえ、夢幻《ゆめまぼろし》の中にこれをもて彼を呼戻さんとせしも益なかりき、彼これに心をとめざりければなり 一三三―一三五
彼いと深く墜ち、今はかの滅亡《ほろび》の民を彼に示すことを措きてはその救ひの手段《てだて》みな盡きぬ 一三六―一三八
是故にわれ死者の門を訪《と》ひ、彼をこゝに導ける者にむかひて、泣きつゝわが乞ふところを陳べぬ 一三九―一四一
若し夫れ涙をそゝぐ悔《くい》の負債《おひめ》を償《つぐの》はざるものレーテを渡りまたその水を味ふをうべくば 一四二―一四四
神のたふとき定《さだめ》は破れむ。
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   第三十一曲

あゝ汝聖なる流れのかなたに立つ者よ、いへ、この事|眞《まこと》なりや否
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