、憶へ……ジェーリオンに乘れる時さへ我汝を安らかに導けるに、神にいよいよ近き今、しかするをえざることあらんや 二二―二四
汝かたく信ずべし、たとひこの焔の腹の中に千年《ちとせ》の長き間立つとも汝は一|筋《すぢ》の髮をも失はじ 二五―二七
若しわが言《ことば》の僞なるを疑はば、焔にちかづき、己が手に己が衣の裾をとりてみづからこれを試みよ 二八―三〇
いざ棄てよ、一切の恐れを棄てよ、かなたにむかひて心安く進みゆくべし。かくいへるも我なほ動かずわが良心に從はざりき 三一―三三
わがなほ頑《かたくな》にして動かざるをみて彼少しく心をなやまし、子よ、ベアトリーチェと汝の間にこの壁あるを見よといふ 三四―三六
桑|眞紅《しんく》となりしとき、死に臨めるピラーモがティスベの名を聞き目を開きてつらつら彼を見しごとく 三七―三九
わが思ひの中にたえず湧《わ》き出づる名を聞くや、わが固き心やはらぎ、我は智《さと》き導者にむかへり 四〇―四二
是に於てか彼|首《かうべ》を振りて、我等|此方《こなた》に止まるべきや如何《いかに》といひ、恰も一の果實《このみ》に負くる稚兒《をさなご》にむかふ人の如くにほゝゑみぬ
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