―二七
さればわが前に今影なしとも、こはたがひに光を堰《せ》かざる諸天に似てあやしむにたらず 二八―三〇
そも/\威力《ちから》はかゝる體《からだ》を造りてこれに熱と氷の苛責の苦しみを感ぜしむ、されどその爲す事の次第の我等に顯はるゝことを好まず 三一―三三
もし我等の理性をもて、三にして一なる神の踏みたまふ無窮の道を極めんと望むものあらばそのもの即ち狂へるなり 三四―三六
人よ汝等は事を事として足れりとせよ、汝等もし一切を見るをえたりしならば、マリアは子を生むに及ばざりしなるべし 三七―三九
また汝等は、己が願ひをかなふるにふさはしかりし人々にさへ、その願ふところ實を結ばず却つて永遠《とこしへ》に悲しみとなりて殘るを見たり 四〇―四二
わがかくいへるはアリストーテレ、プラトー、その外多くのものの事なり。かくいひて顏を垂れ、思ひなやみてまた言《ことば》なし 四三―四五
かゝるうちにも我等は山の麓に着けり、みあぐれば巖《いはほ》いと嶮しく、脛《はぎ》の疾《はや》きもこゝにては益なしとみゆ 四六―四八
レリーチェとツルビアの間のいとあらびいと廢《すた》れし徑《こみち》といふとも、これに此《く
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