のために失はざるまで我これに近づけるとき 四六―四八
理性に物を判《わか》たしむる力は、これの燭臺なるとうたへる歌のオザンナなるをさとりたり 四九―五一
この美しき一組の燭臺、上より焔を放ちてその燦《あざや》かなること澄みわたれる夜半《よは》の空の望月《もちづき》よりもはるかにまされり 五二―五四
我はいたくおどろきて身をめぐらし、善きヴィルジリオにむかへるに、我に劣らざる怪訝《あやしみ》を顏にあらはせる外答へなかりき 五五―五七
我即ちふたゝび目をかのたふとき物にむくれば、新婦《はなよめ》にさへ負くるならんとおもはるゝほどいとゆるやかにこなたにすゝめり 五八―六〇
淑女我を責めていふ。汝いかなればかくたゞ生くる光のさまに心を燃やし、その後方《うしろ》より來るものを見ざるや。 六一―六三
このとき我見しに、白き衣を着(かくばかり白き色世にありし例《ためし》なし)、己が導者に從ふごとく後方《うしろ》より來る民ありき 六四―六六
水はわが左にかゞやき、我これを視れば、あたかも鏡のごとくわが身の左の方を映《うつ》せり 六七―六九
われ岸のこなた、たゞ流れのみ我をへだつるところにいたれるとき、なほよくみんと、わが歩みをとゞめて 七〇―七二
視しに、焔はそのうしろに彩色《いろど》れる空氣を殘してさきだちすゝみ、さながら流るゝ小旗のごとく 七三―七五
空氣は七の線《すぢ》にわかたれ、これに日の弓、デリアの帶のすべての色あり 七六―七八
これらの旌《はた》後《うしろ》の方《かた》に長く流れてわが目及ばず、またわがはかるところによれば左右の端《はし》にあるものの相離るゝこと十歩なりき 七九―八一
かく美しきさにおほはれ、二十四人の長老、百合《フイオルダリーゾ》の花の冠をつけてふたりづつならび來れり 八二―八四
みなうたひていふ。アダモの女子《むすめ》のうちにて汝は福なる者なり、ねがはくは汝の美にとこしへの福あれ。 八五―八七
かの選ばれし民、わが對面《むかひ》なるかなたの岸の花と新しき草をはなれしとき 八八―九〇
あたかも天にて光光に從ふごとく、そのうしろより四の生物《いきもの》各※[#二の字点、1−2−22]頭《かしら》に縁の葉をいただきて來れり 九一―九三
皆六の翼をもち、目その羽に滿つ、アルゴの目若し生命《いのち》あらばかくのごとくなるべし 九四―九六
讀者よ、彼等の形を録《しる》さんとて我またさらに韻語を散らさじ、そは他の費《つひえ》に支《さ》へられてこの費を惜しまざること能はざればなり 九七―九九
エゼキエレを讀め、彼は彼等が風、雲、火とともに寒き處より來るを見てこれを描《ゑが》けり 一〇〇―一〇二
わがこゝにみし彼等の状《さま》もまたかれの書《ふみ》にいづるものに似たり、但し羽については、ジヨヴァンニ彼と異なりて我と同じ 一〇三―一〇五
これらの四の生物《いきもの》の間を二の輪ある一の凱旋車占む、一頭のグリフォネその頸にてこれを曳けり 一〇六―一〇八
この者二の翼を、中央《なか》の一と左右の三の線《すぢ》の間に伸べたれば、その一をも斷《た》たず損《そこな》はず 一〇九―一一一
翼は尖《さき》の見えざるばかり高く上《あが》れり、その身の中《うち》に鳥なるところはすべて黄金《こがね》にて他《ほか》はみな紅まじれる白なりき 一一二―一一四
アフリカーノもアウグストもかく美しき車をもてローマを喜ばせしことなきはいふに及ばず、日の車さへこれに比ぶれば映《はえ》なからむ 一一五―一一七
(即ち路をあやまれるため、信心深きテルラの祈りによりてジョーヴェの奇《くす》しき罰をうけ、燒盡されし日の車なり) 一一八―一二〇
右の輪のほとりには、舞ひめぐりつゝ進み來れるみたりの淑女あり、そのひとりは、火の中にては見分け難しと思はるゝばかりに赤く 一二一―一二三
次なるは、肉も骨も縁の玉にて造られしごとく、第三なるは、新たに降《ふ》れる雪に似たり 一二四―一二六
或時は白或時は赤|他《ほか》のふたりをみちびくと見ゆ、しかしてその歌にあはせて、侶のゆくこと或ひはおそく或ひははやし 一二七―一二九
左の輪のほとりには、紫の衣を着てたのしく踊れるよたりの淑女あり、そのひとり頭に三の目ある者ほかのみたりをみちびきぬ 一三〇―一三二
かく擧げ來れる凡ての群《むれ》の後《うしろ》に、我はふたりの翁を見たり、その衣は異なれどもおごそかにしておちつきたる姿は同じ 一三三―一三五
ひとりは己がかのいと大いなるイッポクラテ(即ち自然がその最愛の生物のために造れる)の流れを汲むものなるをあらはし 一三六―一三八
またひとりは、川のこなたなる我にさへ恐れをいだかしめしほど光りて鋭き一の劒を持ちて、これと反する思ひをあらはせり 一三九―一四一
我は次に外見《みえ》の劣れるよたりの者
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