《いな》まず、直ちにこれを己が願ひとひとしうす
一三九―一四一
【第二の歌】淨火篇
【技巧の手綱】技巧の法則即ち作品各部の間の調和に制限せられて、さらに章を重ぬるをえず
神曲の各篇曲數相同じく(地獄篇の第一曲は神曲全部の總序なり)その句數亦路※[#二の字点、1−2−22]相同じ


 淨火の山は南半球の海中、聖都イエルサレムの反對面にあたりて突出する一圓錐状の高嶺なり、この山三大部に分る、一は海濱より淨火の門に亙る山麓の急坂にして瀕死の際まで悔改めざりしもののとゞまる處(さらに細別して四となす (一)[#「(一)」は縦中横]寺院の破門をうけし者 (二)[#「(二)」は縦中横]怠惰なりし者 (三)[#「(三)」は縦中横]横死せし者 (四)[#「(四)」は縦中横]國事に沒頭して靈の事を省みざりし者) 一は淨火の門よりの巓の附近に亙る山腹にしてこれを圍繞する七個の地帶より成り淨火の最主要部たり、寺院の教義に基づきて分類せる七大罪(傲慢、嫉妬、忿怒、懶惰、貪慾、暴食、邪淫)の淨めらるゝところ、一は山上の平地にして樂園の在る處なり。
 ウェルギリウスはダンテを導いて海濱より登り、たえず右に道をとりつゝ門外の各地及び門内の諸國を歴程して遂に樂園に達し、ベアトリーチェあらはるゝに及びて去る。
 兩詩人がこの南海の孤島を仰ぎてよりダンテがエウノエの水を樂園に飮むにいたるまでに經過せる時間は三晝夜と約七時間なり。



底本:「神曲(中)」岩波文庫、岩波書店
   1953(昭和28)年3月5日第1刷発行
※「神曲」の原文は、三行一組の句を連ねる形式を踏んでいます。底本は訳文の下に、「一」「四」「七」と数字を置いて、原文の句との対応を示していますが、このファイルでは、行末に「一―三」「四―六」「七―九」を置く形をとりました。
※底本が用いている「〔」と「〕」は、「アクセント分解された欧文をかこむ」記号と重なるため、「【」と「】」に置き換えました。
入力:tatsuki
校正:浅原庸子
2004年9月25日公開
2006年5月19日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
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