もわが身かの世に殘るにあらず、その血その骨節《ふし》みな我とともにこゝにあり 五五―五七
我こゝより登りてわが盲《めしひ》を癒さんとす、我等の爲に恩惠《めぐみ》を求むる淑女天に在り、是故にわれ肉體を伴ひて汝等の世を過ぐ 五八―六〇
ねがはくは汝等の大望速かに遂げ、愛の滿ち/\且ついと廣く弘がる天汝等を住《すま》はしむるにいたらんことを 六一―六三
請ふ我に告げてこの後紙にしるすをえしめよ、汝等は誰なりや、また汝等の背《せ》の方《かた》にゆく群《むれ》は何ぞや。 六四―六六
粗野なる山人《やまびと》都に上れば、心奪はれ思ひ亂れて、あたりをみつゝ言葉なし 六七―六九
かの魂等またみなかくのごとく見えき、されど驚愕《おどろき》(貴き心の中にてはそのしづまること早し)の重荷おろされしとき 七〇―七二
さきに我に問へる者またいひけるは。福なる哉汝生を善くせんとてこの地の經驗を船に載す 七三―七五
我等と共に來らざる民の犯せる罪は、そのかみ勝誇れるチェーザルをして王妃といへる罵詈《のゝしり》の叫びを聞くにいたらしめしものなりき 七六―七八
是故に汝等の聞けるごとく彼等自ら責めてソッドマとさけびて去り、その恥をもて焔をたすく 七九―八一
我等の罪は異性によれり、されど獸の如く慾に從ひ、人の律法《おきて》を守らざりしがゆゑに 八二―八四
我等彼等とわかるゝ時は、かの獸となれる板の内にて獸となれる女の名を讀み、自ら己をはづかしむ 八五―八七
汝既に我等の行爲《おこなひ》と我等の犯せる罪を知る、恐らくはさらに我等の名を知るを望むべけれど告ぐるに時なく又我|然《しか》するをえざるなるべし 八八―九〇
たゞわが身に就《つい》ては我汝の願ひを滿《みた》さむ、我はグイード・グィニツェルリなり、未だ最後《いまは》とならざる先に悔いしため今既に罪を淨む。 九一―九三
我及び我にまさりて愛のうるはしきけだかき調《しらべ》が奏《かな》でしことある人々の父かく己が名をいふを聞きしとき 九四―
我はさながらリクルゴの憂ひのうちに再び母をみしときの二人《ふたり》の男の子の如くなりき、されど彼等のごとく激せず ―九九
たゞ物を思ひつゝ長く彼を見てあゆみ、聞かず語らず、また火をおそれてかなたに近づくことをせざりき 一〇〇―一〇二
かくてわが目飽くにおよび、われかたく誓ひをたてて彼のために能くわが力を盡さんと告ぐ
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