一六―一八
信心深き魂の一|群《むれ》、もだしつゝ、我等よりもはやく歩みて後方《うしろ》より來り、過ぎ行かんとして我等を目安《まも》れり 一九―二一
彼等はいづれも眼《まなこ》窪みて光なく、顏あをざめ、その皮《かは》骨の形をあらはすほどに痩せゐたり 二二―二四
思ふに饑《う》ゑを恐るゝこといと大いなりしときのエリシトネといふともそのためにかく枯れて皮ばかりとはならざりしならむ 二五―二七
我わが心の中にいふ。マリアその子を啄《ついば》みしときイエルサレムを失へる民を見よ。 二八―三〇
眼窩《めあな》は珠《たま》なき指輪に似たりき、OMO《オモ》を人の顏に讀む者M《エムメ》をさだかに認めしなるべし 三一―三三
若しその由來を知らずば誰か信ぜん、果實《このみ》と水の香《かをり》、劇しき慾を生みて、かく力をあらはさんとは 三四―三六
彼等の痩すると膚《はだ》いたはしく荒るゝ原因《もと》未だ明《あきら》かならざりしため、その何故にかく饑ゑしやを我今|異《あや》しみゐたりしに 三七―三九
見よ、一の魂、頭《かうべ》の深處《ふかみ》より目を我にむけてつら/\視、かくて高くさけびて、こはわがためにいかなる恩惠《めぐみ》ぞやといふ 四〇―四二
我何ぞ顏を見て彼の誰なるを知るをえむ、されどその姿の毀てるものその聲にあらはれき 四三―四五
この火花はかの變れる貌《かたち》にかゝはるわが凡ての記憶を燃やし、我はフォレーゼの顏をみとめぬ 四六―四八
彼請ひていふ。あゝ、乾ける痂《かさぶた》わが膚《はだ》の色を奪ひ、またわが肉乏しとも、汝これに心をとめず 四九―五一
故に汝の身の上と汝を導くかしこの二の魂の誰なるやを告げよ、我に物言ふを否むなかれ。 五二―五四
我答へて彼に曰ふ。死《しに》てさきに我に涙を流さしめし汝の顏は、かく變りて見ゆるため、かの時に劣らぬ憂ひを今我に與へて泣かしむ 五五―五七
然《され》ば告げよ、われ神を指《さ》して請ふ、汝等をかく枯《か》らす物は何ぞや、わが異《あやし》む間我に言《い》はしむる勿れ、心に他《ほか》の思ひ滿つればその人いふ事|宜《よろ》しきをえず。 五八―六〇
彼我に。永遠《とこしへ》の思量《はからひ》によりて我等の後方《うしろ》なるかの水の中樹の中に力くだる、わがかく痩するもこれがためなり 六一―六三
己が食慾に耽れるため泣きつゝ歌ふこの民はみな饑ゑ渇
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