行ひを見るのみならで、その智よく衷《うち》なる思ひをみる者と共にある人心を用ふべきこといかばかりぞや 一一八―一二〇
彼我に曰ふ、わが待つものたゞちに上《のぼ》り來るべし、汝心に夢みるものたゞちに汝にあらはるべし 一二一―一二三
夫れ僞《いつはり》の顏ある眞《まこと》については人つとめて口を噤むを善しとす、これ己に咎なくしてしかも恥を招けばなり 一二四―一二六
されど我今默し難し、讀者よ、この喜劇《コメディア》の詞によりて(願はくは世の覺《おぼえ》ながく盡きざれ)誓ひていはむ 一二七―一二九
我は濃き暗き空氣の中にいかなる堅き心にもあやしとなすべき一の象《かたち》の泳ぎつゝ浮び來るを見たり 一三〇―一三二
そのさまたとへば岩または海にかくるゝほかの物よりこれを攫める錨を拔かんとをりふしくだりゆく人の 一三三―一三五
身を上にひらき足は窄《すぼ》めて歸る如くなりきと 一三六―一三八
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第十七曲
尖れる尾をもち山を越え垣と武器《うちもの》を毀つ獸を見よ、全世界を穢すものを見よ 一―三
わが導者かく我にいひ、さて彼に示して踏來れる石の端《はし》近く岸につかしむ 四―六
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