走りて路を得よ、彼狂ふ間《ま》にくだるぞ善き 二五―二七
かくて我等はくづれおちたる石をわたりてくだれり、石は例《つね》ならぬ重荷を負ひ、わが足の下に動くこと屡※[#二の字点、1−2−22]なりき 二八―三〇
我は物思ひつゝゆけり、彼曰ひけるは、恐らくは汝はわがしづめし獸の怒りに護らるゝこの崩壞《くづれ》のことを思ふならん 三一―三三
汝今知るべし、さきに我この低き地獄に下れる時はこの岩いまだ落ちざりき 三四―三六
されどわが量るところ違はずば、ディーテに課して第一の獄《ひとや》に大いなる獲物《えもの》をえし者の來れる時より少しく前の事なりき 三七―三九
深き汚《けがれ》の溪四方に震ひ、我は即ち宇宙愛に感ぜりとおもへり(或人信ずらく 四〇―
世はこれあるによりて屡※[#二の字点、1−2−22]と渾沌に變れりと)、此時この古き岩こゝにもほかのところにもかく壞《くづ》れしなりき ―四五
されど目を下に注げ、血の河近ければなり、すべて暴《あらび》によりて人を害《そこな》ふものこの中に煮らる 四六―四八
あゝ惡き狂へる盲《めしひ》の慾よ、苟且《かりそめ》の世にかく我等を唆《そゝの》かし、後かぎ
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