ひけるは、汝が聞けるおのが凶事を記憶に藏《をさ》めよ、またいま心をわが言にそゝげ、かくいひて指を擧げたり 一二七―一二九
美しき目にて萬物を見るかの淑女の麗しき光の前にいたらば汝はかれによりておのが生涯の族程《たびぢ》をさとることをえん 一三〇―一三二
かくて彼足を左にむけたり、我等は城壁をあとにし、一の溪に入りたる路をとり、内部《うち》にむかひてすゝめり 一三三―一三五
溪は忌むべき惡臭《をしう》をいだして高くこの處に及ばしむ 一三六―一三八
[#改ページ]
第十一曲
碎けし巨岩《おほいは》の輪より成る高き岸の縁《ふち》にいたれば、我等の下にはいよ/\酷《むご》き群《むれ》ありき 一―三
たちのぼる深淵の惡臭《をしう》たへがたく劇しきをもて、我等はとある大墳《おほつか》の蓋の後方《うしろ》に身を寄せぬ 四―
われこゝに一の銘をみたり、曰く、我はフォーチンに引かれて正路を離れし法王アナスターショを納むと ―九
我等ゆるやかにくだりゆくべし、かくして官能まづ少しく悲しみの氣息《いき》に慣れなば、こののち患《うれへ》をなすことあらじ 一〇―一二
師斯く、我彼に曰ふ、時空しく過ぐる
前へ
次へ
全374ページ中56ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ダンテ アリギエリ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング