その腰より上こと/″\くあらはる 三一―三三
我はすでに目をかれの目にそゝぎゐたるに、かれはその胸と額をもたげ起してあたかもいたく地獄を嘲るに似たりき 三四―三六
この時導者は汝の言《ことば》を明かならしめよといひ、臆せず弛《たゆみ》なき手をもて我を墓の間におしやりぬ 三七―三九
われ彼の墓の邊《ほとり》にいたれるとき、彼少しく我を見てさて蔑視《さげすむ》ごとく問ひていひけるは、汝の祖先は誰なりや 四〇―四二
我は從はんことをねがひてかくさず、一切をかれにうちあけしに、少しく眉をあげて 四三―四五
いひけるは、かれらは我、わが祖先、またわが黨與の兇猛なる敵なりき、さればわれ兩度《ふたゝび》かれらを散らせることあり 四六―四八
我答へて彼に曰ひけるは、かれら逐はれしかども前にも後にも四方より歸れり、されど汝の徒《ともがら》は善くこの術《わざ》を習はざりき 四九―五一
この時開ける口より一の魂これとならびて頤《おとがひ》まであらはせり、思ふにかれは膝にて立てるなるべし 五二―五四
我とともにある人ありや否やをみんとねがへる如くわが身のあたりをながめたりしが、疑ひ全く盡くるにおよびて 五五―
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