、師は我に示して口を噤ましめ、また身をその前にかゞめしむ 八五―八七
あゝその憤りいかばかりぞや、かれ門にゆき、支ふる者なければ一の小さき杖をもてこれをひらけり 八八―九〇
かくて恐ろしき閾の上よりいふ、あゝ天を逐はれし者等よ、卑しき族《うから》よ、汝等のやどす慢心はいづこよりぞ 九一―九三
その目的《めあて》削《そ》がるゝことなく、かつしば/\汝等の苦患《なやみ》を増せる天意に對ひ足を擧ぐるは何故ぞ 九四―九六
命運に逆ふ何の益ぞ、汝等のチェルベロいまなほこれがため頤《おとがひ》と喉《のんど》に毛なきを思はずや 九七―九九
かくて彼我等に何の言だになく汚れし路をかへりゆき、そのさまさながらほかの思ひに責め刺され 一〇〇―
おのが前なる者をおもふに暇なき人のごとくなりき、聖語を聞いて心安く、我等足を邑《まち》のかたにすゝめ ―一〇五
戰はずして内に入りにき、我はまたかゝる砦《とりで》の内なるさまのいかなるやをみんことをねがひ 一〇六―一〇八
たゞちに目をわがあたりに投ぐれば、四方に一の大なる廣場《ひろには》ありて苦患《なやみ》ときびしき苛責を滿たせり 一〇九―一一一
ローダーノの水澱む
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