は、子よ、ディーテと稱ふる邑《まち》は今近し、こゝには重き邑人《まちびと》大いなる群集《むれ》あり 六七―六九
我、師よ、我は既にかなたの溪間に火の中より出でたる如く赤き伽藍をさだかにみとむ 七〇―七二
彼我に曰ふ、内に燃ゆる永久《とこしへ》の火はこの深き地獄の中にもなほ汝にみゆるごとく彼等を赤くす 七三―七五
我等はつひこの慰めなき邑《まち》を固むる深き濠《ほり》に入れり、圍《かこひ》は鐡より成るに似たりき 七六―七八
めぐり/\てやうやく一の處にいたれば、舟子《ふなこ》たかくさけびて、入口はこゝぞ、いでよといふ 七九―八一
我見しに天より降《ふ》れる千餘のもの門上にあり、怒りていひけるは、いまだ死なざるに 八二―
死せる民の王土を過ぐる者は誰ぞや、智《さと》きわが師はひそかに語らはんとの意《こゝろ》を彼等に示せるに ―八七
かれら少しくその激しき怒りをおさへ、いひけるは、汝ひとり來り、かく膽《きも》ふとくもこの王土に入りたる者を去らせよ 八八―九〇
狂へる路によりて彼ひとりかへり、しかなしうべきや否やを見しめ、かくこの暗き國をかれに示せる汝はこゝに殘るべし 九一―九三
讀者よ、この
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