とや》を過ぎてかなたの岸にいたれるに、こゝに一の泉ありて湧きこゝより起れる一の溝《みぞ》にそゝげり 一〇〇―一〇二
水の黒《くろ》きことはるかにペルソにまさりき、我等|黯《くろず》める波にともなひ慣れざる路をつたひてくだりぬ 一〇三―一〇五
この悲しき小川はうす黒き魔性の坂の裾にくだりてスティージェとよばるゝ一の沼となれり 一〇六―一〇八
こゝにわれ心をとめて見んとて立ち、この沼の中に、泥にまみれみなはだかにて怒りをあらはせる民を見き 一〇九―一一一
かれらは手のみならず、頭、胸、足をもて撃ちあひ、齒にて互に噛みきざめり 一一二―一一四
善き師曰ふ、子よ、今汝は怒りに負《ま》けしものゝ魂を見るなり、汝またかたく信すべし 一一五―一一七
この水の下に民あることを、かれらその歎息《ためいき》をもて水の面に泡立たしむ、こはいづこにむかふとも汝の目汝に告ぐる如し 一一八―一二〇
泥《ひぢ》の中にて彼等はいふ、日を喜ぶ麗しき空氣のなかにも無精《ぶせい》の水氣を衷にやどして我等鬱せり 一二一―一二三
今我黒き泥水《どろみづ》のなかに鬱すと、かれらこの聖歌によりて喉に嗽《うがひ》す、これ全き言《こと
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