黷ホ一夜を其中に過して今は昨日となれるなり、またキリストの息絶えし時即ち第六時(ルカ、二三・四四)をダンテは正午と解したれば(『コンヴィヴィオ』四・二三、一〇七)これより五時を引去る時は朝の約七時となる、さればマラコダの兩詩人とかたれるは一三〇〇年型金曜日の翌日(四月九日)午前七時の頃なりとしるべし
一一八―一二三
ダンテが一々鬼に名を附せしはこの後起らんとする事柄を明瞭に讀者の腦裡に印せんとするにあり、されど此等の名をえらぶにあたりていくばくの用意ありしやあきらかに知り難し、この中には翼犬鬚龍等を編込めるもあれどもまた音調以外に何等の摸索し得べきものなきもあり。おもふに附會の説によりてしひて解釋を求むるは詩人の本意にあらざるべし、また此等の名は詩人時代のフィレンツェの行政官或ひは黒黨の首領等の名を巧みに作り變へしものなりとのロセッティの説は一部のダンテ學者の認むるところなれどもダンテがかゝる姑息の手段によりてその欝憤を洩せりとは信じ難きに似たり
一二四―一二六
【岩窟】すべての溪(十の嚢)をいふ
一三六―一三六
【齒にて】兩詩人の欺かるゝを嘲り長と相圖をあはせしなり


    第二
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